東武鉄道が取り組む「埼玉への移住促進」大作戦

県と組み空き家活用、子育て世代にアピール

では、東武はなぜこの取り組みを始めたのだろうか。

そこには空き家に対する危機感があった。埼玉県の空き家は35万戸で全戸数の10.9%(2013年時点)。2008年に比べると約1万4000戸も増えている。こうした空き家の増加は当然人口減少につながる。

ただ、空き家の問題は私鉄だけで解決できることではない。そこでまず東武がJTIの取り組みに2015年から参画し、それから同じくJTIに協賛する埼玉県へ声をかける形で協定が締結され、相互連携に基づくプロジェクトである「もっとずっとプロジェクト」が始まった。

そして2017年度には実際に貸したい側の高齢者への働きかけを開始。7日間で計129人が説明会にやってきたという。貸したいというニーズはそれなりにあり、特に東上線沿線で高いようだ。

相互直通を生かして沿線外にPR

ただ、この取り組みは貸し手側と借り手側がマッチングしなければ意味がない。そして、沿線人口を増やすためには沿線外の住民に「借り手」として来てほしい。ではどうするか。そこで白羽の矢が立ったのが東武の「電車」だ。

住み替え支援事業の説明会の様子(写真:東武鉄道)

幸いにも東武スカイツリーラインは東京メトロ半蔵門線と東急田園都市線に直通し、東武東上線は東京メトロ有楽町線・副都心線と東急東横線、みなとみらい線に直通する。車内広告を行えばかなり広範囲に認知してもらえる可能性が出てくるのだ。

そこでスカイツリーラインを走る1編成を丸々広告ジャックするなどの積極的な広報活動を行っている。ちなみに、埼玉県は「もっとずっとプロジェクト」においては県のWebページやアプリで情報発信をするほか、市町村との連携調整などを行っている。

借り手側への説明会は沿線外各地で行い、こちらも関心が高いようだ。また、移住者への関心が高い市町村を埼玉県に紹介してもらい、ツアーも企画している。1回目はときがわ町と越生町を訪れるツアーで36人が参加、2回目は今年3月初旬に加須市や羽生市へ向けたツアーを行った。

次ページ「最終的に東武沿線住民が増えてくれれば」
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