大胆すぎる「楕円形」電車はこうして生まれた

神秘的?キモい?京都・叡山電鉄の新型車両

車内は落ち着いた雰囲気だ(記者撮影)

外観と同様、車内のデザインも大胆ながら落ち着いた印象。楕円形の窓沿いに、従来車両より1人あたりの幅と奥行きを広げたシートが並び、壁面は継ぎ目や機器類の出っ張りなどが目立たないフラットな仕上げとしている。このため、壁は従来車両より片側で3cm厚くなっているが、「若干狭くなる分、シートの座面の角度を調整して、座っている人が通路に足を投げ出しにくいよう工夫した」(叡電の担当者)。楕円形のモチーフに合わせ、手すりも弧を描いた形状だ。

楕円形の「顔」。通常は1両で走るが、ほかの車両と連結する場合は連結器回りの部分だけ楕円形の飾りを取り外せる構造という(記者撮影)

前面には巨大な楕円形のリングがあるものの、従来は左側に寄っていた運転席を中央に約30cm寄せたこともあり、前方の視界は良好。リングの中だけでなく、両サイドにも細い窓ガラスを設けて視界を広くとった。運転時の視認性については「楕円形のリングのうち、窓ガラスに当たる部分の実物大模型をメーカーに造ってもらい、事前にほかの車両に取り付けて確認や調整をした」という。

デザインは、京阪電鉄の車両カラーリングなども手掛けたGKデザイン総研広島が担当。車両の改造は川崎重工業が行った。改造費用は非公表だ。

パノラマ以外の魅力を

叡電は1997年と1998年に、天井まで届く大型の窓ガラスを設け、座席を窓側向きに配置するなどした観光客向けの展望電車「きらら」を2編成導入しており、今回の「ひえい」は20年ぶりの新型観光用車両となる。

坂東常務によると、新たな観光用車両の導入に向けた検討が始まったのは4年ほど前。京阪グループ全体で比叡山・琵琶湖周辺の観光活性化に取り組む中、700系車両が製造から約30年を経て改修の必要性が高まってきたこともあり、「これに乗って(比叡山方面に)行ってみたいという魅力あるコンテンツづくりの一環」(坂東常務)として、700系を大改造した観光車両の導入を決めたという。

車両のデザインについてはさまざまな意見があったという。緑深い山や秋の紅葉など、沿線風景の魅力で知られる路線だけに、当初は「やっぱりパノラマ車両じゃないか」という意見もあり、「楕円形をモチーフとしたデザインに対して『なんでこれやねん』という声もなかったわけではない」と坂東常務はいう。

だが、展望電車はすでに「きらら」がある。最終的には「同じようなものをつくるより、乗りたくなる車両としてほかにはない特徴あるデザインがいい」と、大胆な楕円形デザインが採用されることになった。

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