《検証・民主党》雇用--野党共闘も今は昔? 難産続く派遣法改正案
派遣切りはさらに深刻化 またぞろ党内不協和音も
膠着状態が続くまま4月に入り、3党学習会でヒアリングを受けた日本弁護士連合会が求めに応じ有志案として提案を行った。骨子は、現在政令で指定されている専門26業務を除く一般業務について登録型派遣を禁止する、違法派遣時の直接雇用みなし規定を創設するというもの。有志の一人である棗(なつめ)一郎弁護士は「派遣切りで明らかとなった派遣先も派遣元も、どちらも雇用責任を負わない登録型派遣の実態は座視できない」と趣旨を語る。
これを真っ先に評価したのが社民党。福島党首は「派遣はすべて専門職に限定するという社民党案からは一歩後退するが評価している。国民新党もこれでよいと言っている」とし、共産党も「この案なら乗れる」(関係者)という。社民党はこの骨子を基に法制局と協議し、登録型派遣を有期労働者の派遣と定義。これを政令で定める専門業務以外は禁止するとの試案を示した。つまりは「派遣会社が派遣労働者を期間の定めのない雇用で雇っていさえすれば、派遣先は製造業だろうが、物流、引っ越しだろうが問わない」(福島党首)。
他方で困惑の色を隠せないのが民主党。「有志案は一つの材料としては評価するが、従来の議論よりも格段にハードルが高い」(細川議員)。党内からは「直接雇用みなし規定、製造業派遣禁止と他党の主張を入れ続けてきたのに、どこまでのめばいいのか」との声も上がる。また「生計を立てている人がほとんどの製造業派遣とは異なり、家計補助的な働き方を望む人にとっては、気軽に働ける登録型派遣のメリットは大きい」との従来からの声も根強い。
ただ状況の変化は著しい。4月上旬の「春の派遣村」には、一般事務で派遣切りに遭い生活に困窮している女性からの相談も複数寄せられた。すでに派遣切りの嵐は製造業にとどまらない。