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レーニンの善悪の基準は「革命に役立つか」だった 佐藤優の情報術、91年ソ連クーデター事件簿84

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ロシアの宗教哲学者ニコライ・ベルジャーエフはロシア社会主義革命の指導者・レーニンの人間的資質を高く評価する。

私生活ではレーニンは秩序と規律を愛し、よき家庭人で、わが家にいて仕事をするのを好み、ロシアの急進インテリゲンツィアがはなはだしく好んだキャフェでの止めどもない議論を好まなかった。かれには無政府的傾向はなかった。かれは無政府主義にはがまんができなくて、つねにその反動的性格を暴露した。かれは革命的ロマンティシズムや誇大妄想的おしゃべりにも辛抱ができなかった。

(中略)一九一八年、混乱と無政府とがロシアを脅かしたとき、レーニンはロシア人民と共産主義者自身とを規律に服せしめるため、超人的努力を傾けて演説をつづけた。かれはごく初歩的な事柄、労働、規律、責任感、知識と学問、積極的建設、などをうったえ、破壊だけはうったえなかった。

かれは誇大な革命的言辞を弄する者を痛罵し、無政府的傾向を摘発し、その底知れぬ危険をうちはらい、ロシアの混沌たる崩壊をくいとめた。かれは独裁と暴力によってそれをくいとめた。(ベルジャーエフ〈田中西二郎/新谷敬三郎訳〉『ベルジャーエフ著作集 第7巻 ロシア共産主義の歴史と意味』白水社、1960年、162ページ)

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