トランプ再来で市場が描く為替の"未来予想図" インフレ誘発政策が米利下げを阻んで「円安」へ

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第1次トランプ政権の教訓を踏まえれば、トランプ氏の政策運営でインフレが高止まりしているにもかかわらず、パウエル議長がトランプ氏から再三叱責を受けるという滑稽な構図はいかにも予見される。

第1次トランプ政権の経験を踏まえれば、今後、トランプ氏がX(旧ツイッター)などを通じて低金利やドル安への志向を発信することで、金融市場がそれに迎合する取引を行うことも予想されるが、基本シナリオとしては「トランプ氏自身が終わらないインフレの体現者」としてFRBの障害になり続ける可能性は高い。

利下げが続くかどうかは、トランプ氏次第

多くの市場参加者はすでに忘れてしまっている事実だが、パンデミックの最中、多額の現金給付に象徴される拡張財政を展開し、インフレの種をまいたのはトランプ政権だった。

もちろん、バイデン政権もそれを引き継いだので結局、共和・民主両党がインフレ高進については同罪ではあるが、第1次トランプ政権時代からトランプ氏のイメージがインフレ高進と親和性が高いのは間違いない。

当面、FRBは利下げ局面継続の正当性をうたい続けるだろうが、それが現状に即するかどうかは、すべてトランプ氏の挙動に委ねられてしまっている。

その意味で12月17~18日のFOMCにおける利下げ有無やドットチャート(金利予想の分布図)を含めた情報発信は、平時に比べればウォッチする意味が薄れてしまっているとも言えるかもしれない。

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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