トランプ再来で市場が描く為替の"未来予想図" インフレ誘発政策が米利下げを阻んで「円安」へ
なお、11月利下げはもともと100%織り込まれていた既定路線であり、12月利下げのスキップについても相応に織り込まれていた。
問題は第2次トランプ政権を当て込んだ2025年以降の政策金利をどう読むかである。
すでに「トランプトレード」という名で財政・金融政策が拡張方向で織り込まれているように、アメリカの物価・金利情勢は上振れするとの見通しが強まっている。
会見においてパウエル議長は「選挙が近い将来に政策決定に影響を与えることはない」と明言しているが、新政権の発足が2025年1月であり、政策執行に伴って経済・金融情勢に影響が出るとすれば、さらにその数カ月先になる。
市場はもともと、「選挙が近い将来に政策決定に影響を与える」とは考えていないはずであり、もっと未来の話を織り込んで現在のトレードに落とし込んでいると考えるべきだろう。
「利下げの終点」前倒しで高まる円安リスク
パウエル議長も認めていたように、前年比で見た米金利が上昇していることを考えると、金融環境が緩和方向へ調整される中で景気も復調傾向にあるというのが現状と見受けられる。
筆者は「利下げの終点」が争点化する大まかなタイミングとして来年半ば以降を想定し、これを為替見通しに反映させているが、すでに「利下げの終点」を話題にする向きは散見され始めている。思ったより利下げ局面が短命に終わる可能性を意識して、1ドル=160円台復帰を口にするアナリストが増えているのが現状である。
すでに投機筋の円ポジションがショート(売り持ち)に転じていることから、筆者はそれほど単純な話ではないようにも感じているが、アメリカ経済のノーランディング(景気減速なし)を前提としたドル/円相場の底堅さ=円安進行は、確かにリスクシナリオとして確度が高まりつつあるようには思える。
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