2021年1月6日、議会乱入事件で実質、クーデターを試みたとも指摘されるトランプ氏は当時、政治人生に終止符を打ったともみられていた。トランプ氏の側近や共和党重鎮に加え、共和党寄りの産業界も同氏を批判。当時は大統領復活など到底予想されていなかった。
だが、バイデン政権下で刑事訴追されたことも後押しし、トランプ氏は共和党予備選を制した。本選では、現状の経済情勢などに不満を抱く国民が変化を求める政治環境下、トランプ氏に追い風が吹いた。
度重なるスキャンダルに直面してもテフロン加工がされているように醜聞がこびりつかないことから「テフロン・ドン(Teflon Don)」とも呼ばれるトランプ氏は今回も復活劇を見せた。
両議会でも共和党が多数派の可能性大、公約実現へ
今回、選挙選終盤でトランプ氏とハリス氏の中傷合戦は激しさを増し、アメリカ社会の亀裂はさらに拡大した。
これまでトランプ氏は当選の場合、政敵への復讐も呼びかけてきた。トランプ氏は4件もの刑事裁判を抱えているが、政権発足後に自らに恩赦を与えたり、起訴を取り下げたりすることが予想される。
民主党支持者を中心に法による支配への懸念が高まること必至であり、社会不安が拡大することも懸念される。なお、移民を大量に強制送還する政策なども断行すれば、国内でもデモ活動が拡大すること必至だ。
トランプ氏は、選挙戦で語ってきたことを国民は承知の上で自ら票を入れたとして、公約の多くを実行に移そうとするであろう。選挙人だけでなく、得票数でもトランプ氏はハリス氏を上回り、議会でも上院に加え下院も多数派を握る可能性が高まっているため、なおさらだ。
勝利宣言を行った6日未明の演説でトランプ氏は「国を癒やすのを助ける」と語った。すでに6000万人以上(11月6日集計時点)がハリス氏に票を投じ、選挙結果を受け入れられない国民も多数いる中、今後、トランプ氏は自らも助長した分断国家をまとめていくことができるのか注目だ。
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