「癒やす」と勝利演説、国民の不満突いたトランプ氏 「ハリス氏では政策は変わらない」と印象づけた

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経済情勢など現状に不満を抱く国民は「チェンジ(変革)」を求めていた。過去約10年、中間選挙も含め、毎回、アメリカ国民は変化を求め、大統領あるいは議会の勢力図は逆転を繰り返してきた。

バイデン氏が大統領選から撤退後、しばらくハリス氏は高揚感「バイブス(Vibes)」によって支持を伸ばした。だが、その人気の高まりは大統領選まで続かなかった。9月半ば以降、ハリス氏の支持率は伸び悩み、蜜月期間は終わった。

ハリス氏は世代交代を訴え、変革をもたらすことを訴えた。しかし、同氏の選挙戦は当初から矛盾があった。

各種政策は中道寄りのバイデン政権の政策をアピールする一方、自らも不人気のバイデン氏から距離を置こうと試みた。だが、副大統領を務める現政権やバイデン氏から自らを引き離すのは矛盾し、限界があった。

功を奏したネガティブキャンペーン

トランプ氏は支持者集会などで繰り返し、「ハリス氏は政策を変えると主張するが、なぜ現政権の今、できないのか」といった効果的な主張を展開していた。トランプ氏は「ハリス氏が変革をもたらすのではなく、国民が不満を抱く現状の政策から変わらない」といったイメージ確立に功を奏したようだ。

なお、ハリス陣営は当初、自己紹介などポジティブなメッセージを展開し、ネガティブキャンペーンに力を入れるようになったのは選挙選終盤だ。同陣営は選挙戦終盤で焦り始め、より効果的と判断したネガティブキャンペーン重視に切り替えたが、手遅れであったかもしれない。

一方、トランプ陣営はネガティブキャンペーンを早い時期から展開していた。

10月、筆者がトランプ支持者集会に参加して印象的であったのが、トランプ陣営は仮にハリス氏が当選した場合、不法移民が増え、犯罪が拡大し、公共サービスが低下するといった画像や映像を大画面で繰り返し流していたことだ。「ハリス政権が発足した場合のアメリカは暗い」というイメージを浸透させようとしていた。

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