「大統領選が終われば株上昇」とは限らない大接戦 どちらが勝っても議会が政策実現を左右する

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ハリス氏、トランプ氏ともに、景気への負の影響がある政策も見られるわけだが、その実現可能性も併せて考慮する必要がある。税制改正は基本的には議会承認が必要であり、実現可能性は議会構成に左右される。大統領選挙と同日に上下院選挙も開催され、議会構成が変化する。

上院は現在民主党が多数派となっているが、世論調査によれば今回の選挙で共和党が多数派となる可能性が高い。

現在、共和党が多数派の下院は、接戦となっており、結果はふたを開けてみるまではわからないだろう。

ただし、大統領選挙と同日に実施された下院議会選挙では、大統領選挙の勝利者が所属する政党と、下院の多数派政党が一致する傾向がある。

どちらが大統領でも議会が政策をマイルド化する?

こうした議会選挙の予想を踏まえれば、ハリス氏が勝利しても、上院多数派は共和党が握ることが想定される。共和党は法人税増税や、政府支出の拡大に慎重であり、ハリス氏の政策は実現しにくく、実現できたとしても中庸化することになろう。

トランプ氏が勝利した場合には、上下院ともに多数派が共和党となる可能性があり、法人減税などの景気対策をしたうえで、追加関税措置を実施することも可能だろう。

もっとも、共和党は政府支出の拡大に慎重であり、共和党議員の中でトランプ氏の減税案に対して批判的な声もある。アメリカでは党議拘束が緩やかであり、トランプ氏の減税案に賛成しない議員も出てくる可能性がある。

共和党が上下院で多数派になったとしても、そのリード分は僅差であることが想定されるため、共和党内の意見の取りまとめの過程で、トランプ減税の恒久化ではなく期限延長といったマイルド化が進むと考えられる。

追加関税に関しても、トランプ氏は大統領であった2017〜2020年において、選挙前後の主張をスケールダウンしてきた。景気対策がマイルド化すれば、追加関税措置もスケールダウンするとみられる。

ハリス氏であれ、トランプ氏であれ議会構成によって政策が極端な方向に向かわず、中庸化することは、ソフトランディングを目指すアメリカ経済にとって望ましい。

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