「大統領選が終われば株上昇」とは限らない大接戦 どちらが勝っても議会が政策実現を左右する
2016年の大統領選挙を振り返ると、ヒラリー・クリントン氏が世論調査の支持率でラストベルトにおいて3〜5%ptリードしていた。しかし、選挙ではトランプ氏がラストベルトで勝利した。
2020年の選挙でも、バイデン氏が世論調査の支持率でラストベルトにおいて5〜8%リードし、選挙でもバイデン氏が勝利したものの、得票率のリード分は1〜3%まで縮まった。
経験則として民主党候補者がラストベルトでトランプ氏に勝利するためには5%程度のリードが必要であり、ハリス氏の足元の1%程度のリードでは心もとないといえるだろう。
トランプ氏が世論調査で過小評価されやすい要因として、世論調査で捕捉されていない「隠れトランプ支持者」の存在が指摘されている。2024年の世論調査においてもトランプ支持者が捕捉されにくい状況は続いており、ラストベルトでハリス氏が勝利できず、トランプ氏が大統領選挙全体で勝利することも想定すべきだ。
「もしトラ」「もしハリ」どちらも経済にマイナス
選挙が大接戦ということには変わりがないことから、ハリスシナリオ、トランプシナリオのどちらにも準備しておくべきといえる。
ハリスシナリオに関しては、住宅購入支援や低中所得家系向け支援が景気を押し上げうるものの、その財源の富裕層向け増税や法人増税が景気の押し下げ要因だ。Tax foundationによれば、ハリス氏の政策リストの経済効果として、GDPを2%程度押し下げると試算されている。
他方で、トランプシナリオに関しては、トランプ減税の恒久化や法人減税などが景気の押し上げ要因となるものの、財源となる追加関税措置(中国からの輸入品に対して60%の関税、中国以外からの輸入品に対して10〜20%の関税)が景気を冷やすと考えられる。Tax foundationはトランプ氏の政策リストによるGDPへの効果を、0.2%の押し下げと見積もっている。
もっとも、トランプ氏の追加関税措置がインフレをもたらし、利下げが先送りされうることなどを考慮すれば、景気への負の効果はさらに大きくなる恐れがある。
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