鹿児島県喜界島で、現役の研究者と共に3年間じっくり学ぶ「サンゴ留学」 応募者ゼロからの1期生、そして迎える新入生

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それぞれの夢を育て、島民とも互いに刺激を与え合う

一方の宮﨑さんは、すっかりサンゴ研究の虜だ。カリキュラムとしては、留学生は毎週水曜と土曜に研究所に行くことになっている。しかし彼女は現在、毎日のように研究所に顔を出していると言う。

「昨日も火曜日でしたが行ってきました(笑)。研究所に行くと、北海道大学や名古屋大学など、いろいろな大学の人とたくさん話をすることができるんです。みんな研究に打ち込んでいて、『私は今、すごい人たちと関わっているんだな』と感じています」

研究所のインターン生とサンゴ留学生の交流も
(写真:喜界町提供)

理科の教員になることも考えていた宮﨑さんだが、島に来てから、もともと持っていた環境問題への関心がより強くなった。まずは研究所で接する学生や教員のいるような大学を目指したいと話す。サンゴ留学では、さまざまな志向の生徒が、それぞれの夢をしっかり育てているようだ。

實氏は、「留学生の存在は、島の子どもたちにもいい刺激になっています」と言う。

「最近面白かったのはお金の話ですね。島の高校生たちにとってお金といえばおこづかいぐらいで、なかなか金銭感覚が育ちにくいところがあります。でも留学生たちは、自ら銀行に行って、自分でお金の管理をして生活しています。その姿を見て、島の子たちは『なんかカッコいい』『大人みたい』と言っていました(笑)。小さなことですが、それまでになかった発想や視点があちこちで生まれていると思います」

教員や町役場の職員はもちろん、多くの島民が留学生たちに気軽に声をかけ、温かく見守っているそうだ。

「留学生のための新しい寮も建設中で、2025年度の完成を予定しています。同じタイミングで3学年がそろうので、そこがサンゴ留学の本当の意味でのスタートになると考えています。まだ始まったばかりのプロジェクトで、ふるさと納税などでさらなる支援も呼びかけているところ。PRも継続しながら、学びと島の活性化を目指していきます」(實氏)

2024年度の4月には、新たに6人の留学生がやってくる。1期生にとっては初めての後輩だ。「サンゴ留学の今後のためにも、後輩にはしっかり頑張ってもらおうね」と、樋口さんと宮﨑さんは後進指導にやる気を見せて笑い合った。

(文:鈴木絢子、注記のない写真:yukikotakei / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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