山口真由が「成績優秀でも社会ではポンコツ」と苦しんだ学校と社会の「評価差」 受験でひたすら有利なのは「読んで暗記」の能力
少しでも早く自分の能力を見つけて、徹底的に磨いてほしい
──偏差値の高い学校や最高峰の大学への進学については、どうお考えですか。
例えば大谷翔平選手や藤井聡太八冠のように、子どもの頃から将来やりたいことが明確に決まっている一部の人を除けば、できる限り偏差値の高い学校に進んでおいたほうがいいと考えます。その理由は2つ。1つは、将来何かあった時に叩ける“可能性の扉”がより多く存在しているから。もう1つは、就職や転職する際に、事細かに説明せずとも自身の能力を理解してもらいやすいからです。私自身、東京大学に進んだことで、叩ける扉の数は多かったです。これには非常に感謝していますし、おかげで自分に合う場所を見つけるまでさまざまな扉を叩き続けることができたのだと思います。
また私は、自分が無教養・無趣味であることを恥ずかしく思っているのですが、例えば企業の取締役に就いたとして、システムの話がまったくわからないのでは問題でしょう。詳しくなる必要はなくても、好奇心を持つに足る原材料は持っておくとよいと思います。
──子どもたちがこれからの未来を生き抜くために必要なことはなんでしょう。
自分が何者であるか、自分にはどんな能力があるのかをなるべく早く知った上で、それを徹底的に磨いていくことだと思います。個々の能力を見つけるには、親や教員の積極的なサポートや見守りも必要でしょう。
私は読むことが得意だったけれど、それが自分の武器だと知ったのは、30代に入ってからでした。ハーバード・ロースクールでレポートを出した際に「あなたは読む力が非常に高い。文章にないことを読み取ることができる」と教授に言ってもらい、目からうろこが落ちたんです。授業中の発言は苦手でしたが、「私は文章で表現できる。私の核は読んで表現することなのだ」と、ようやく気付くことができました。
海外へ飛び出して自分を客観的に見つめて削ぎ続け、結果として自分の軸が見つかったのは大きな収穫でした。軸が見つかれば、あとは自信を持って人生を組み立てていくだけ。財務省と弁護士時代は軸が見えないまま迷走していて精神的にとても辛かったので、子どもたちにこんな思いはさせたくありません。「状況を客観的に分析できる」「人の感情に気付ける」「空間認知能力が高い」など、どんな些細なことでもいいので、少しでも早く自分の個性に気付き、ブラッシュアップしてほしいと思います。
(文:せきねみき、写真:本人提供)
東洋経済education × ICT編集部
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