国際貿易の拡大は米国の労働者と安全保障につねにプラスとなる──。米バイデン政権はそうした前提に立つのではなく、国内の製造能力に投資し、サプライチェーンを友好国の間で強化する考えだ。歓迎すべき政策の見直しとはいえ、中国がもたらす問題に対処することを考えると、その深度は必ずしも十分ではない。
過去80年の状況は矛盾をはらんでいた。米国は親米的な独裁者を支える外交政策を強力に推し進め、中央情報局(CIA)による政府転覆工作さえいとわなかったが、それと同時にグローバル化と国際貿易、世界経済の統合にこだわってもきた。富をもたらし、世界をより親米的にするためだ。
そうした状況が実質的に崩壊した今、政策担当者は矛盾なき立場を打ち出す必要がある。そのためには、2つの新たな原則を米国の政策の基盤に据えることを考えなくてはならない。第1に、世界貿易は世界の安定につながるように構築されるべきだ。貿易の拡大によって宗教過激派や復讐心に燃えた独裁者の手により多くの資金がもたらされることになれば、世界の安定と米国の国益が損なわれる。
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