資源エネ庁次長が語る「電力競争政策」の青写真 「内外無差別」政策通じ、真の競争を実現させる

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資源エネルギー庁次長に就任した松山泰浩氏(撮影:筆者)
石油ショックが起きて50年が経過した現在、日本を取り巻くエネルギー情勢は再び緊迫度を増している。エネルギーの安定供給を確保しつつ、カーボンニュートラルや電力システム改革をどう進めていくのか、今年7月に資源エネルギー庁次長に就任した松山泰浩氏が合同インタビューに応じた。


――現在のエネルギー情勢をどのようにとらえていますか。

2012年7月に石油・天然ガス課長に着任し、それ以来およそ11年の間、ほぼ一貫してエネルギー行政に関与してきた。

福島第一原子力発電所事故は決して忘れてはいけないできごとだ。その教訓を心に刻みながら、安全を最優先に原子力に再挑戦していく。

再生可能エネルギーは非常に有望な電源になってきた。国際情勢も激変している。脱炭素という世界的な流れの中で日本の置かれた立場を考えつつ、未来に向けて環境づくりをしていかなければならない。

石油ショックが起きた1973年は、経済産業省の外局として資源エネルギー庁が設立された年だ。

先日、当時の先輩たちから石油ショック当時の状況を学んだが、あの時代は中東依存、石油依存の時代であり、先人たちが苦闘を続けてエネルギーの安定供給確保とエネルギー源の多様化に努力したことを再認識した。

現在は当時とは国際情勢も技術の状況も異なるが、問題の複雑さや困難さは今も共通している。

エネルギー基本計画の見直しに着手

――エネルギー基本計画見直しの議論を始める時期にさしかかっています。

エネルギー基本計画は3年に1度見直すことが法律で定められている。2024年は、見直しの議論を始める年になる。エネルギー政策の大前提である「Sプラス3E」という考え方は変わるものではない。これはSすなわち安全性(Safety)を大前提として、安定供給(Energy Security)、環境適合(Environment)、経済効率性(Economic Efficiency)の3つのEを同時に追求するものだ。

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