人類は互いを「信頼」できる仕組みをどう築いたか 『信頼の経済学』など書評3冊

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『信頼の経済学 人類の繁栄を支えるメカニズム』

・『グローバル政治都市 アクターとアリーナ ―国際関係における影響力』

・『「フーディー」が日本を再生する! ニッポン美食立国論  時代はガストロノミーツーリズム』

『信頼の経済学 人類の繁栄を支えるメカニズム』ベンジャミン・ホー 著
『信頼の経済学 人類の繁栄を支えるメカニズム』ベンジャミン・ホー 著/庭田よう子 訳/佐々木宏夫 解説(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・大阪大学教授 安田洋祐

「信頼」と「経済学」の組み合わせを意外に感じた読者も多いのではないだろうか。実際、経済学の入門書で信頼が取り上げられることはほとんどない。しかし著者は、信頼は経済活動の基盤であり、社会全体の繁栄に欠かせないと説く。

裏切りのリスクを伴うが、望ましい取引や協力の源泉

例えば、消費者は売り手である企業やブランドを信頼して商品を購入するのだし、仕事やスポーツでもチームメンバーを信頼したうえで各人は皆のために努力する。相手への信頼があるからこそ、取引や協力が生まれるのだ。

信頼にはリスクも伴う。売り手が不良品を売りつけてきたり、ほかのメンバーが怠けたり、といった形で信頼が裏切られることもあるだろう。こうしたリスクが大きくなりすぎると、最悪の場合、誰も信頼できなくなり、社会全体にとって望ましい取引や協力が生まれなくなってしまう。

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