ソ連時代末期になるとお金、とくに米ドルや西独マルクなどがあるとモスクワでも欲しいものが十分手に入るようになった。英語、ドイツ語、フランス語、日本語などの外国語が少しでもできる大学生は、外国企業の下働きのような仕事をしたがった。
しかし、「ラトビア青年」紙記者のイーゴリ・ラズモフスキー氏には矜持(きょうじ)があり、外国人にお金で使われるような仕事に就くことを望まなかった。筆者は、この人にはロシアの知識人として高いモラルが備わっているので、協力関係を構築することにした。
「私はイーゴリさんから、記者会見の内容や、ロシアのジャーナリストが話している事柄について教えてもらえるとありがたいです。ただし、秘密情報は必要としません。あなたが私に話してもよいと考える情報だけを教えてください」と筆者は言った。もちろん、筆者は秘密情報が喉から手が出るほど欲しい。しかし、初めから「秘密情報が欲しい」などと言えば、こちらが欲しがる機微に触れる情報は絶対に入ってこない。
「秘密情報はなかなか入ってこないと思います。しかし、ロシア人記者の間では当たり前でも、外国人が知らない非公開情報はたくさん入ってきます。そういう情報には関心はありませんか」
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら