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真実を知り正確に教えてくれる人を確保する 佐藤優の情報術、91年ソ連クーデター事件簿⑱

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外務省の公電は通常、1人の情報源から聞いた話は1本の電報に記す。ただしクーデター事件のような非常時には、複数の情報源からの内話(公開を前提としない話)を1本の公電に記すことがある。ソ連発本省宛公電第5235号で筆者は、イリイン・ロシア共産党第2書記とともに、ヴャチェスラフ・ポローシン氏からの内話を記した。ポローシン氏はロシア正教会の神父(妻帯している長司祭)でエリツィン大統領の側近だった。

ソ連内政(ヤナエフの大統領就任〔正しくは、ヤナエフの大統領代行就任〕)

第5235号 秘 大至急

2.18日(正確には19日)10:00、佐藤がポローシン・ロシア最高会議信教の自由及び宗教問題委員長にヤナエフの大統領就任につき電話にて照会したところ次の通り。

ロシア最高会議から本件に関する説明は何も受けていない。(当方より、現在、エリツィン・ロシア大統領を中心に最高会議、政府の幹部が右問題に関する会議が行われていると水を向けたところ、)右は極めて限られた範囲での会議で、最高会議委員会の委員長も殆(ほとん)ど参加していない。

この情報で、最高会議の幹部に接触を試みてもエリツィン側の動静について正確な情報は得られないと筆者は判断し、これについて情報を収集する窓口は、ツァレガロッツエフ大統領補佐官に絞ることにした。

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