首都圏中学受験が本格化、人気校3つの特徴「国際・女子・高大接続」支持される訳 難関校への回帰も鮮明に中学受験2023
個別最適化、個別指向といった要素を捉えた学校が伸びている
こうした人気校の特徴は「国際」「女子」「高大接続」がキーワードになっているといえる。また最近ではさまざまな入試のタイプがあり、子どもの得意不得意に合わせて学校選びをするのも一つの手だ。
中でも英語は取り組みやすい。英検を持っていると加点されるなどの優遇措置がある学校や英語入試を実施している学校があるほか、国語と英語のみ、国語と算数のみなどの2科目受験がある学校も多くなっている。
公立中高一貫校の近くに位置する学校では、適正検査型入試を導入して受験者数を伸ばしている。両国高等学校附属中に近い安田学園や小石川中等教育学校に近い宝仙学園、三鷹中等教育学校や武蔵高等学校・附属中に近い聖徳学園は、公立中高一貫校の併願校として人気だ。
ちなみに茨城県では県内トップクラスの高校である土浦第一、水戸第一を含めて22年度までに13校を中高一貫校化し、今や公立の中高一貫校数で全国1位となっている。「県立の進学校に行こうと思えば公立の中高一貫校を検討するようになっており塾も活況。江戸川学園取手や茗溪学園なども適正検査型入試をやるようになった」と森上氏は話す。埼玉や千葉についても、公立一貫校の募集人数が増えており、公立の中学受験が増えると併願で私立の受験者数も増える傾向にある。
今後も過熱することが予想される中学受験。保護者も大変だが、少子化で生徒数が減っていく中、学校も生き残りに必死だ。これからの学校にはどのような要素が必要になってくるのだろうか。
「通常、夫婦で年収800万円もあれば教育で困ることはないのですが、東京で中学受験に臨む家庭の年収は1000万円が平均水準となっています。相応の支払い能力を持った方が多いということになります。つまり、しっかりとした教育方針を示せば、学校の人気が高まるということ。例えば、ドルトン東京の授業料は年間150万円ほどですが、25人の少人数教育と独自のカリキュラムが評価され人気が高まっています。いわば、個別最適化、個別指向といった要素をうまく捉えた学校が伸びているのです。海外の有名大学への進学についても多大な費用がかかりますが、グローバル指向の中で、進学を望む家庭では違和感なく受け止められているといえるでしょう」
今後も志願者数の増加が続き、熾烈な競争となる中学受験。保護者は失敗しないためにも子どもに対して、どのようなことに気をつければいいのだろうか。
「今は子ども1人の家庭が多くなっています。そのため、子どもに期待をかけすぎて、煮詰まってしまう場合があります。子どもを追い込むことは、いちばん危険です。中学受験がすべてではなく、高校受験、大学受験もあります。とくに少子化の影響もあり、高校は難関校でも従来より入りやすくなっているといわれています。中学受験では一部の能力しか測っていないのですから、そこで勝ち負けを意識しないこと。大事なことは、子どもに寄り添っていくことです。そして、子どもたちにさまざまな環境を用意して、学校以外の学習歴もつくっていくことで、子どもたちの好奇心を育んでいくサポートをしていくこと。それが何よりも大事だといえるでしょう」
(文:國貞文隆、注記のない写真:CHAI / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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