首都圏中学受験が本格化、人気校3つの特徴「国際・女子・高大接続」支持される訳 難関校への回帰も鮮明に中学受験2023
女子美、昭和女子、実践女子などの女子校の倍率が上昇
では、最新の人気校の動向について、森上氏はどう見ているのだろうか。最近は2023年4月に開校する芝国際(東京女子学園)など、校名を変え共学化することで人気が高まる学校が増えている。
「21年に共学化し校名を改称したばかりの広尾学園小石川が首都圏全体で受験者数がトップとなるなど、広尾学園、三田国際学園といった海外大学進学を指向する学校に人気が集まっています。広尾学園には大学の教養課程を先取りして学ぶAP(Advanced Placement)というプログラムもあって、昨年は米ハーバード大学やプリンストン大学など、いわゆるアイビーリーグに5名の合格者を出して注目されました。また、開智日本橋など国際バカロレア(IB)の認定校なども海外大学進学の際に有利なディプロマプログラム(DP)が得られるため、人気が高くなっています」

森上教育研究所 代表取締役社長
早稲田大学法学部卒業。東京第一法律事務所勤務を経て東京・中野の学習塾「ぶQ」の塾長を11年務めた後、1988年に森上教育研究所を創立。中学受験、中高一貫の中等教育分野を対象とする調査、経営コンサルティングを手がける
(撮影:尾形文繁)
一方で、女子校の人気も高くなっているという。女子美術大学付属、昭和女子大学附属昭和、実践女子学園などの女子校の倍率が上昇しており、再び女子校ブームが到来している。
「今の受験生の親御さんが中学受験の頃、まさに女子校ブームだったのです。当時は共学校がありませんでしたが、現在のブームは保護者の意向が影響していると考えられます。女性の社会進出も進んでおり、将来のキャリアがしっかりと見える女子校に注目が集まっているといえるでしょう。1年間の海外留学を必須としているコースがある佼成学園女子は、コロナ禍で海外旅行になかなか行けない中で再び注目され人気になっています」
中位校については、昨年は日本大学豊山や獨協、芝浦工業大学附属、かえつ有明などが人気だったが、ほかにもMARCHの系属校がブームになっていると森上氏は指摘する。
「横浜英和は青山学院の系属校となり、1期生の7割が青山学院大学へ進学しました。香蘭女学校は卒業生の8割ほどが立教大学に進学、26年から明治大学の系属校となる日本学園は、29年度から卒業生の7割以上が明治大学に進学できるとしています。直系の付属校とまったく変わらない形で高大接続という流れが系属校から起きている。三輪田学園も法政大学との高大連携を拡充しました。ほかにも、横浜女学院は高大接続の先駆けですが、いろいろな大学と提携して、卒業生のほとんどがキリスト教系の大学に進んでいます。東京女子大や上智大などもキリスト教系の学校と提携して、積極的に生徒の受け入れを進めています」
少子化が進む中で青田買い的な側面があるようにも見えるが、こうした高大接続の流れが今、一挙に押し寄せている。今や大学入試全体の5割超が総合型選抜と学校推薦型選抜が占めるようになる中で、中学受験をする家庭においても「進路が早く決まる分、自分の指向する専門的な教育を早めに進められることが好意的に受け止められている」(森上氏)のだ。