精神科医・本田秀夫が語る「発達障害の子の不登校」、課題と解決に必要な視点 通常学級の「インクルーシブ教育」浸透が急務

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大人の発達障害の当事者グループが盛り上がることがよくあるように、子どもたちも自分と興味・関心の方向性やペースが同じ子とは仲良くなれる可能性があります。そういった少数派の子どもたちの文化を尊重し、楽しめるカリキュラムや空間を提供できる場が、特別支援学級や通級だと思います。学校外では、放課後等デイサービスなどがあります。

ところが現状では、「早く社会性を身に付けて通常学級に戻りなさい」と言う通級の先生がいたり、学校の宿題や補習をやらせたりする放課後等デイサービスがあったり。こういう見当違いなことをしているうちは、登校しぶりや不登校の予防・解決は難しいでしょう。発達障害の人たちに対して「病気だから早く治して周囲になじみなさい」という考え方で接する人が多いですが、「独自の文化を持つ少数民族」と捉えるべきです。

──学校に来られなくなった場合は、どのような対応が必要でしょうか。

登校しぶりは、本人にとって末期の状態。登校を促すとこじらせる可能性が高いです。登校しぶりも長期不登校も、お子さんが行きたくなるような活動をアレンジしてその情報を伝え、行くかどうかは本人に委ねるといった対応がよいかと思います。

また、不登校のきっかけが友達関係の中での孤立である場合、先生が味方になってくれると学校に行けるようになることも多く、それだけ先生の存在は重要であることを認識していただきたいです。

──現状、学校と医療の連携はどうなっていますか。

全国的な動きは把握していないので、私の取り組みをお話しします。まず、学校に行く気にさせる薬はありません。私たち医療サイドの役割は、本人や周囲の方から話を聞いて不登校の理由を見立て、今後の方針を考えることだと思っています。

学校のご要望でお子さんの診察に先生が同席される場合もあれば、先生や親御さん、地域のケースワーカーさんに集まっていただき一緒に方針を決める支援者会議を開くことも。お子さんのメンタルヘルス上の医療情報を本人・家族の了承を得て、学校と共有することもあります。同様の対応を行っている病院はほかにも多いと思います。

ただ、診察以外の場での支援については診療報酬が発生しないため、当院では独自に連携料を設定しています。連携を強化するのであれば、不登校支援や学校などとの連携を医師の仕事として認めるかどうか、厚生労働省で検討することが課題になるでしょう。

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