中央銀行「最後の貸し手機能」はなぜ存在するのか 流動性不足に陥った金融機関への貸し付け

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空から望む日本銀行の佇まい
「最後の貸し手」機能は、日本では「特融(日銀特融)」と呼ばれる。1960年代の証券不況時や90年代後半に複数の金融機関に対して発動された(撮影:今井康一)

2022年のノーベル経済学賞は、「銀行と金融危機の研究」を行った3人の研究者に与えられた。元FRB(米連邦準備制度理事会)議長のベン・S・バーナンキ氏は1983年の論文で30年代米国の大恐慌を実証的に分析し、恐慌下で銀行の破綻が生産量の大幅かつ持続的な減少をもたらしたことを明らかにした。

同年、ダグラス・W・ダイアモンド氏とフィリップ・H・ディビッグ氏は共著論文で、社会における銀行の役割や「銀行取り付け」が起こる仕組みを説明する理論モデル(ダイアモンド=ディビッグ・モデル)を打ち立てた。彼らの理論により、銀行危機を防止するための事前的規制や危機拡大を阻止するための事後的対応策を分析することが可能となった。本稿では、後者の事後的対応策として代表的な手段である、中央銀行の「最後の貸し手(Lender of Last Resort)」機能について解説する。

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