320億ドル(約4.3兆円)の企業価値を誇ったサム・バンクマン・フリード氏の暗号資産(仮想通貨)帝国FTXの凄絶な破綻は、前代未聞の大倒産劇の1つとして歴史に名を残すことになろう。著名人、政治家、セックス、ドラッグのエピソードも満載で、今後は映画のネタになるに違いない。ただ、これで仮想通貨は死ぬ、とみるのは行き過ぎだ。
確かに、FTXのような「取引所」が破綻すれば仮想通貨相場が持続的に下落するのはほぼ間違いない。取引所の登場は、相場を勢いづける重要な要素となっていた。
だが、相場の急落だけでは仮想通貨の終わりを意味しない。ここで問うべきはむしろ、ロビイストたちが今回のダメージを抑え込めるかどうかだろう。バンクマン・フリード氏は米民主党に4000万ドル、同じくFTXの幹部だったライアン・セーラム氏は米共和党に2300万ドルを献金したと伝えられる。このような大金は、仮想通貨規制で各国の当局者に「様子見」の姿勢をとらせるのに間違いなく役立ったはずだ。今回のFTX破綻で当局者らは、様子見の結果をしかと見届けたと思いたい。
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