大幅値上げ狙う大手電力「独禁法違反」発覚の衝撃 トップの引責辞任や株主代表訴訟にも発展か

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中部電力の本社
公正取引委員会からの処分通知を受けて、中部電力は275億円もの「独禁法関連特損」の計上を発表した。写真は名古屋市の本店ビル(撮影:梅谷秀司)

企業や個人向け電気料金の大幅な値上げ表明が相次ぐ中、大手電力会社が独占禁止法違反に手を染めていた実態が明るみに出た。公正取引委員会の調査で、大手電力各社が2020年秋までの約2年にわたって価格競争回避を目的とした「カルテル」を結んでいたことが判明。電力業界に激震が走っている。

公取委は12月1日、中部電力、中国電力、九州電力に対し、独禁法違反(不当な取引制限)に基づく排除措置および課徴金納付を盛り込んだ処分案を通知した。今後、各社からの意見聴取を踏まえて課徴金納付命令が出されるが、課徴金総額は1000億円以上と史上最高額にのぼる。

お互い「安値」の料金提示をしないように合意

九州電力によると、公正取引委員会から受け取った意見聴取通知書にはおおよそ次のような趣旨の記述がある。

「関西電力と九州電力および同社子会社である九電みらいエナジーの間では、関西および九州の両地区において、2018年10月から2020年10月までの間、官公庁等の入札契約(特別高圧および高圧契約)に際して、お互いに安値による電気料金の提示をしないように合意していたと認められる。その期間は2018年10月から2020年10月の約2年に及び、これは独禁法違反の『不当な取引制限』に該当する。九州電力への課徴金額は27億円とすることが相当」

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