マツダが「ドル箱」米国攻略で背負う重大課題 新型SUV販売好調も現地工場の人員確保で苦労

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マツダは新型車をテコに収益柱のアメリカが業績回復を牽引する。ただ、アメリカでの一段の成長に向けては乗り越えるべき課題も多い。

マツダが北米向けに2022年に投入した新型SUVの「CX-50」。コロナ禍で落ち込んだ業績回復の牽引役となっている(写真:マツダ)

失地回復とはこのことを指すのだろう。2022年度第1四半期(4~6月期)にマツダは上海都市封鎖による部品供給難が響き、国内自動車メーカー中で唯一の営業赤字を計上したが、第2四半期(7~9月期)は生産台数が急回復。中間決算(4~9月期)の売上高は前年同期比10%増の1兆6425億円、営業利益は同39%増の552億円と大幅な改善となった。

「グループを挙げての取り組みが奏功して、第1四半期の赤字から迅速にリカバリーできた」(マツダの毛籠勝弘専務執行役員)

マツダは通期の業績予想を上方修正。売上高は1000億円増の3兆9000億円(前期比25%増)、営業利益は200億円増の1400億円(同34%増)に引き上げた。前期から続く原材料価格の高騰影響が1500億円あるが、コスト改善効果400億円と為替の円安メリット1100億円で相殺する。

通期の出荷台数は110万台を計画する。第1四半期の苦戦が響き期初の目標から8万台引き下げたが、前期に比べ10万9000台(11%)増えることが収益に貢献する。

アメリカで販売奨励金を抑制

台数増に加え、台当たりの収益性改善も効く。改善幅が大きいのが、マツダの世界販売の3割弱を占めるアメリカだ。アメリカでは半導体の逼迫が緩和しつつあるが、依然として新車の需要に生産が追い付いていない状況が続く。

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