中国経済の新たな司令塔、李強氏の貴重な「肉声」 習近平側近の次期首相候補が語る「市場化改革」

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驚異的なスピードで出世し、次期首相候補となった李強氏。中国の調査報道メディアである財新は2014年、浙江省長だった李強氏に独占インタビューを行った。同氏の考え方の一端が垣間見える貴重な証言をお届けする。

中国の次期首相候補である李強氏
中国の次期首相候補である李強氏。習近平主席の忠実な側近として知られるが、以前には「地方政府の改革者」という顔も見せていた(写真:ロイター/アフロ)

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10月23日に中国共産党の最高指導部入りを果たし、習近平国家主席に次ぐナンバー2となった李強氏。2023年3月には李克強首相の後継として、次期首相の座に就くのがほぼ確実視されている。

中国経済の舵を取る李強氏はどんな考えの持ち主なのか。中国の調査報道メディアである財新は、2014年当時、浙江省長だった李強氏に独占インタビューを行っている。李強氏の考え方の一端が垣間見える貴重な肉声を抄訳してお届けする(原文の配信は2015年1月14日)。

市場化のレベルは決して高くない

2014年11月17日の正午、(当時)浙江省長の李強氏は省内の地方都市や農村部の視察に出発する前に、財新記者の独占インタビューに応じた。
(インタビュー当時)55歳の李強氏は、浙江省政府が掲げる新たな改革の主要な立案者であり、同時に推進者である。控えめな実務家として知られる李強氏は、叩き上げと呼ぶにふさわしい。(文化大革命の期間に)一介の労働者からスタートし、改革開放政策の開始後には(大学入試の再開による)第一期の大学生となった。
公職に就いてからは浙江省でさまざまなポストを歴任し、2013年1月に浙江省長に就任した。

――浙江省は自発的な改革意識が一貫して高い土地柄です。原動力はどこにあるのでしょうか?

浙江省が中国で最も市場経済の導入が進んでいる省の1つであることは、広く知られています。

とはいえ、省の経済全体に占める民間経済の比率は高いものの、生産要素(訳注:土地、労働、資本など、財やサービスの生産に用いられる本源的な要素)の配分に関する市場化のレベルは決して高くありません。

生産要素の配分において、行政の許認可が依然として主導的な役割を果たしているのです。浙江省の人々は勤勉かつ優秀であり、改革推進への内生的な熱意はもともと高い。しかしながら、民間活力を大いに引き出す制度作りは、まだ十分とは言えません。

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