習近平国家主席の右腕として猛スピードで出世し、中国の次期首相候補となった李強氏。過去の発言から次期首相候補の特質に迫る。
中国のナンバー2、次期首相候補である李強(63)。中国の調査報道メディアである「財新」が2014年に行った独占取材は、李強の今後の手腕を占ううえで非常に貴重な記録だ。その発言から次期首相の特質を読み解いていきたい(財新の李強インタビューはこちら)。
当時のインタビューでは、朴訥に市場経済化、民営企業の活力の必要性を語っている。このとき、浙江省長だった李強には、「地元経済の成長」という強い追い風が吹いていた。
インタビューの1カ月ほど前、アリババ(本社は浙江省杭州市)がニューヨーク株式取引所で株式を公開し、それまでで最大の時価総額を記録している。また、習近平政権がスタートして2年目、2013年の周永康、薄熙来の逮捕のあと腐敗取り締まりの動きが加速し、政治的には緊張が高まっていた。
「要素市場の改革」について言及
そうした状況の中で、李強は「生産要素の分配の市場化」について語っている(生産要素とは、土地、労働、資本など、財やサービスの生産に用いられる本源的な要素のこと)。この政治課題は、その後の習政権の課題として一貫して登場するテーマである。インタビュー後に実施された第13次五カ年計画、現在実施されている第14次五カ年計画、そして先日開催された第20回党大会の政治報告にも、「要素市場の改革」は登場している。
とりわけ興味深いのは、要素分配の市場化とは「行政許認可制度の簡素化」であると李強が明言している点である。
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