さいたま市「1人1台端末活用の不登校支援」開始、試行錯誤で見えてきたこと 「Growth」が大切にする「子どもたちのペース」

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まず基本となるのが、朝、昼、帰りに小中学生共通で行われるオンラインホームルームだ。朝は出欠や健康観察、1日のスケジュール確認、残りの2回はコミュニケーションを図るためミニゲームやクイズなどを実施している。参加は強制ではなく自由で、途中参加や退出もOK。教師や児童生徒間のやり取りはチャットで行う。現在は30名ほどが毎日、ホームルームに参加しているそうだ。

小学部の時間割は、ホームルームのほか、授業や面談、自習の「ぐんぐんタイム」(中学部・中等部は「個別学習」)、授業やぐんぐんタイムでわからなかった点を質問できる時間「なぜなぜタイム」(中学部・中等部は「アスキングタイム」)、交流イベントを行う「グロウスタイム」などで構成されている。

小学部の時間割。中学部・中等部も同様の構成

オンライン授業は2022年5月23日から配信を始めているが、内容は、担当職員が児童生徒たちの様子を見ながらどの学年でも楽しめることを重視して決定しており、その都度独自に資料を作って教えている。例えば中学部・中等部では、ICTスキルの差を踏まえて「Microsoft Teamsの使い方」や「Growthで気持ちよく生活するための情報モラルの知識と実践力を身に付けよう」「筆記体のサインの練習」などからスタートした。

中学部・中等部の数学を担当する大髙恭介氏

また、担当職員のどちらかが授業を行い、もう1人がチャットで生徒の質問に答える形で進行し、コミュニケーションの活性化を図っている。「どうしてだと思う? 可能な子はチャットしてみてね」など声かけも行うが、基本的に発言は強制せず見ているだけでもOKとしている。アスキングタイムは、勉強や進路の相談が多く、個別に相談をしたい生徒がいれば、1対1でチャットできるルームに案内しているという。

一方、小学部のなぜなぜタイムは、「勉強の質問よりも、コミュニケーションを求めて参加する子が多い印象です。みんなでしりとりやゲームをしたり、チャットでおしゃべりをしたり。参加せずにのぞきにくるだけの子もいます」(小学部担当、主任指導主事の山田大童氏)。

また、Growthでは日帰り体験活動などリアルに他者と会う機会も定期的に設けていく。7月中旬には初めて、プラネタリウム鑑賞の課外活動も実施した。27名(小学生15名、中学生12名)の参加があり、担当職員たちも子どもたちと初めて対面で会う機会となった。普段は画面をオフにしている子がほとんどのため、職員の感動も大きかったという。

「グループ学習はなく無理に誰かと話す必要がないことは事前にしっかりと伝えましたが、初回ということもあり、打ち解けるにはまだまだハードルが高いのかなという様子でした。秋にも芋掘りなどを予定しており、今後も定期的に行いたいと思っています」(舩水氏)

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