25%以上が帰国生の「かえつ有明」、多様性を尊重し生徒が互いに刺激し合う 海外進学も支援、「未知」を楽しむ人を育てる

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「教員同士も生徒も、相手に意見を強要したり、批判したりすることはしません。互いの中にある軸を認め受け止めることが大前提で、この発想が本校の取り組みのすべてのベースになっています。グローバル教育やアクティブラーニングなどが注目されがちですが、ぜひその根幹にある理念を理解して、この学校を選んでもらえたらうれしいですね」

同校は帰国生や海外にルーツを持つ「国際生」への丁寧な指導でも知られるが、現在は実に生徒全体の4人に1人以上が国際生だ。学びの自由度の高さについて、加々美さんのクラスメートにも尋ねてみた。インターナショナルスクール出身のある女子生徒は次のように語る。

「A組は本当にいろいろな人がいて、インターから来た私もまったく違和感なく溶け込むことができました。もともと英語力には自信があったのですが、ここで求められるのは単なる語学力ではなく、英語で深く考える思考力や表現力でした。インター時代の自分とはまったく違うレベルに成長できたと感じています」

学習はもちろん、彼女は部活動にも全力で取り組んだ。6年間を通してマーチングバンド部に所属し、今年は部長も務めた。部活動から得たものも多かったと続ける。

「新型コロナ前には全国大会の高等学校の部で金賞を取ることができました。また、昨年のオリンピックとパラリンピックのオープニングセレモニーで演技をしたこともいい思い出です。先輩や後輩との接し方も学ぶことができました」

もう一人、別の女子生徒が質問に答えてくれた。彼女は幼少期を海外で過ごしたが、公立の小学校で過ごすうちに英語力が低下してしまった。それを取り戻そうとかえつ有明中に入学したものの、中2で再び海外へ。中3で帰国してからは別の中学に通っていたが、高校受験でかえつ有明に戻ってきたという複雑な遍歴を持つ。

「私の家庭は恵まれているほうだと思います。だから与えられた道を行けば間違いないし、それが安全で幸せなのだと思っていました。でもここで過ごすことで、未来はわからないほうが楽しいんじゃないかなと思うようになったのです」

クラスメートには加々美さんのように自由な考えの生徒が多く、影響を受けたかもしれないと笑う。日本の大学に進学する予定だったが、2カ月前に「将来の予測がつかないほうがいい」と第1志望をオーストラリアの海外大学に変更した。今は外国人教員のサポートを受けながら、現地の大学に提出するエッセーをまとめているところだ。

加々美さんはひとまず、IT分野に特化した大学への進学を考えている。その先についても「一度は大企業っていうところに入ってみたいと思っています。中小企業の方々には高校時代にたくさんお話を伺いましたが、大企業の知識や経験はまだ僕にはないので」と、あくまで自然体だ。その先は起業するかもしれないし、海外に行くかもしれない。将来の予測はやはり、簡単にはつかないようだ。

(文:鈴木絢子、写真:梅谷秀司)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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