「ネット受信料」の制度化はありうるのか。有識者会議での議論から読み解いた。
2021年末、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」から発売された“NHK受信料を支払わなくていいテレビ”が、ネットを中心に大きな話題を呼んだ。
「ネット動画専用スマートTV」(24インチで2万1780円)は、放送を受信するチューナーを内蔵せず、用途をネット動画の視聴やゲームに限定している。そのため、放送法64条が規定する「NHKの放送を受信することができる受信設備」に該当しない。現在までの売上高は1億円を超えている。
NHKもこうした受信料徴収を避ける動きに対し、手をこまぬいているわけではない。2020年に開始し、同局におけるネット戦略の要諦となっているのがネット同時配信「NHKプラス」だ。
透けるネット配信拡大の意志
現在のNHKプラスは、NHKに受信料を支払うテレビ保有者のみが利用でき、ほかの動画配信サービスのようにネットのみの利用はできない。ただ、総務省の要請を受け、2022年4月以降にテレビを保有していない人も含めたネット配信の実証実験が予定されている。
NHKによる一連のネット業務拡大を受けて飛び交っているのが、「スマホ所持者など、ネットを使っている全ての人から、受信料を強制徴収したいのではないか」という臆測だ。
NHKの前田晃伸会長は実証実験について、「受信料(の仕組み)を見直すことを前提にしたものではない」と否定する。そうは言っても、テレビを保有していない人にもネット配信を行おうとする取り組みに際しては、その受信料制度に関する議論は避けて通れない。
この「ネット受信料」のあり方を考えるうえで手がかりとなるのが、「NHK受信料制度等検討委員会」なる有識者会議での議論だ。2017年、NHK内に設置された同委員会の主題は、受信料体系やネット同時配信が実現した際の受信料負担のあり方だ。同委員会は「常時同時配信の負担のあり方について」という諮問への答申に当たり、費用負担について4つの方法を提示している。
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