不正問題の温床となった組織風土の改革を急ぐ三菱電機。強みとする知財の分野で、縦割りの壁を越えた取り組みがいよいよ始まった。
相次ぐ品質不正問題に揺れる名門企業は、不正の温床となった縦割りの組織風土にメスを入れられるか。
全社変革チームの設置や人事制度の変更などの対策を急ぐ三菱電機。事業本部の独立性が根強い同社で、各事業の知見を掛け合わせる取り組みが、知財という本来一番デリケートな領域から本格的に動き出した。
2021年10月、三菱電機は公式ホームページに「オープンテクノロジーバンク」を立ち上げた。保有する技術資産を外部に公開し、他社との協業の機会にしようという取り組みだ。
1月13日現在、「冷蔵庫内のモニタリング技術」など26の技術を紹介している。紹介ページの問い合わせフォームから、直接担当者に連絡することができる。
特許出願数はソニー、パナを上回る
実は三菱電機は、国内トップクラスの特許登録件数を誇る。
世界知的所有権機関(WIPO)によると、2020年の国際出願数ランキングで三菱電機(2810件)は中国のファーウェイ(5464件)、韓国のサムスン電子(3093件)に次ぐ世界3位。多様な事業を抱える総合電機企業は特許数が多くなる傾向にあるが、9位のソニーや10位のパナソニックを抑えて日本勢ではトップだ。
ところがこれまで、膨大な特許を十分に生かせていなかった。「工場ごとに知財担当がいるが、お互いに交流することは少なかった」と振り返るのは、三菱電機の曽我部靖志・知的財産センター長。縦割り型の組織ゆえに、同じ会社でも互いの工場が持っている特許を知らないまま、似たような製品を別々に技術開発していたこともあったという。
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