経営共創基盤グループの会長、冨山和彦氏はかねて、一人ひとりが会社に依存せずに生き残るための専門性とスキルの重要性を説いている。
働くというのは本来、ジョブ(職務)を遂行しているということであって、ある会社のメンバーであること自体ではない。
ただ、日本ではたまたま、大量生産、大量販売型の産業モデルが成り立つ時代が続いていた。メーカーなら生産や販売、管理などの仕事があって、同じことを何十年もやるという条件が昭和の終わりまで続いた。そうした状況下では同志的なメンバーで構成した組織は有効だった。
例えば、現場ではさまざまな調整をしながら物事を進めていく。そこでは気心の知れた同じメンバー、同じ顔ぶれで仕事をすることが最も生産性を高める方法だった。ただ、平成に入る頃にそれは終わった。その時代が特殊だっただけで、普通は社員各自が専門性を高めるほうが合理的だ。
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