三菱ケミカル、石油化学と炭素を分離 選択と集中で課題にメス

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脱炭素も見据え、外国人社長の下で事業の選択と集中を進める。

ギルソン社長は構造改革によって「利益を伴う成長軌道に戻す」と述べた(写真:三菱ケミカルホールディングス)

国内最大手の総合化学メーカー、三菱ケミカルホールディングス(三菱ケミHD)が事業再構築へ大きな一歩を踏み出す。

12月1日、三菱ケミHDは石油化学事業と炭素事業について2024年3月期をメドに切り離すと発表した。具体的な方法は、他社との事業統合やIPO(新規株式公開)を検討する。カーボンニュートラル(脱炭素)の潮流に即したリストラの断行で、収益性や競争力を高めるのが狙いだ。

石化事業は主に石油由来のナフサからプラスチック原料などを製造し、炭素事業は石炭から製鉄原料のコークスなどを製造する。22年3月期の業績計画では、全売上高とコア営業利益(営業利益から非経常的な損益を除いたもの)のうち、石化事業がそれぞれ2割弱、炭素事業は6%前後を占める見込みだ。

ただ両事業は国内市場縮小による成長性の乏しさに加えて、汎用品が多いため利益率も低く、原料や製品の市況変動に業績が大きく左右される。そのため三菱ケミHDを含む国内化学メーカーにとっては、そもそも石化事業などの扱いは課題となってきた。そこにきて世界中で広まる脱炭素が、三菱ケミHDの事業分離を後押しした。

三菱ケミHDが東京都内で開いた経営戦略説明会で、社長のジョンマーク・ギルソン氏は「(脱炭素で)日本のエネルギー価格、コストは上昇するだろう。これらは多くを日本でやっている事業だ。統合再編は避けられない」と説明した。

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