横浜市長選で「ノー」を突きつけられたIR(カジノを含む統合型リゾート)の誘致。日本版IRは国際競争に打ち勝てるか。
撤退する事業者が出て当然
――IR運営に携わってきた立場から、日本で進むIR計画の現状をどう見ていますか。
度重なるIR大手の撤退や横浜市長選における自民党の変わりようなど、国が当初想定したシナリオとは異なる方向に進んでいるとしか思えない。とくに、ここまで多くの企業が手を引いてしまうとは思わなかった。
コンプライアンス面において世界でいちばん高いレベルにあるべきというのが、国による計画設計の大きな柱だろう。カジノ収益に対する高い税率やジャンケット(カジノに顧客を紹介する仲介)業務の一部禁止、入場時のマイナンバーカードの提示といった規制に加えて、入場者のバックグラウンドなどのチェックは世界の中でもそうとう厳しい。
さらに、日本のIRの区域認定期間は当初は開発期間を含めて10年、それ以降は5年だけ。その都度ライセンスの更新時期がやってくる。
企業からすれば、巨額の投資回収に必要な事業期間が保障されていないことになる。数千億円から1兆円の投資に見合わないと考える事業者が出て当然だ。
――各自治体におけるIR誘致への姿勢に気になる点はありますか。
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