横浜市長選で「ノー」を突きつけられたIR(カジノを含む統合型リゾート)の誘致。日本版IRは国際競争に打ち勝てるか。
横浜市で推進派の林文子市長が落選し、誘致計画の中止が濃厚となったIR(カジノを含む統合型リゾート)。業界を知る人々は日本におけるIRの行方を、どう見ているのだろうか。参入を狙う企業の関係者や海外IRの現役幹部らに話を聞いた(個別取材を座談会形式で構成)。
Bさん:IR参入を断念した日系レジャー企業関係者
Cさん:早くから日本を見限った海外IR企業の幹部
Dさん: 日本でIR参入を目指す日系レジャー企業幹部
横浜は事業者の顔ぶれも魅力なかった
――横浜ではIR反対を表明している元横浜市立大教授が市長選に当選し、IR計画の頓挫がほぼ確実となりました。
A(海外IR企業関係者) 横浜市は借金王国で、IRをやる必要性に迫られていた。ただ、事業者などの民間有識者からの助言に真摯に向き合わない市の姿勢は気になっていた。
そこにミスターフジキ(横浜港ハーバーリゾート協会の藤木幸夫会長)という地元の巨人が立ちふさがり、「絶対にIRはやらせない」と。世界のほかの都市でも、ここまで地域の有力者が強く反対の姿勢を示したことはなかった。
B(日系レジャー企業関係者) あの人の世話になった政治家が多すぎて、自民党は彼に逆らえない。でも、国内最大の市である横浜を(市長選で)落とすわけにもいかない。
そこで(IR推進派の林市長ではなく)前国家公安委員長の小此木八郎氏を候補に立てて、「小此木さんは反対派だ」というポーズを見せた。藤木さんとの喧嘩を沈静化しようと、横浜でのIRを諦めて、政治の大局を取ったわけだ。
C(海外IR企業幹部) 横浜のIRは、運営事業者の公募に応じたコンソーシアムの顔ぶれも魅力的とは言いがたかった。これは初期投資の資金調達に関わる問題だ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら