アメリカのソフトウェア企業買収を決断。M&Aに失敗し続けた過去から脱し、長年の停滞を抜け出せるか。
2020年秋以降の買収の議論が本格化した期間は、2021年6月の社長交代が決まった時期とも重なる。長引く業績停滞からの脱却を探る、新旧それぞれの社長がブルーヨンダーに懸けた狙いは何か。
パナソニック経営陣が買収を決断するに至った内幕に、前編・後編で迫る。
短期間で迫られた決断
6月の定時株主総会を経てパナソニックの社長となった楠見雄規氏は社長就任前の1月、法人向けシステム事業を担う社内カンパニー、コネクティッドソリューションズ(CNS)社の現場視察や、幹部らとの意見交換に回っていた。
「おまえが反対するなら俺はやらん」
2020年10月末に社長の内示を受けた後、津賀一宏社長(当時)からそう告げられた楠見氏。判断を委ねられたのは、サプライチェーンマネジメントを手掛けるアメリカのソフトウェア企業・ブルーヨンダーの買収だ。買収金額は71億ドル(約7800億円)に上る。
楠見氏が社長の内示を受けたときの肩書は車載事業のトップ。技術者としてテレビなどAV機器の開発に携わった経験も過去にはあるが、ブルーヨンダーが直接関係する法人向けシステム事業については「他人事」だった。
「たくさんお金を使うんだな」。社内会議でブルーヨンダーの買収をめぐる議論が出ても、当時の楠見氏の認識はその程度だった。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら