「失敗は真摯に反省。感受性が欠けていた」 2015年1月17日号/インタビュー 伊東孝紳社長

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年末休暇中の本社で、「きちんと説明したい」と伊東社長は切り出した(撮影:田所千代美)

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ホンダにとって2014年は試練の1年となった。2013年に鳴り物入りで投入した3代目「フィット」は、新開発のハイブリッドシステムの不具合などで短期間に5回のリコールを出した。品質管理の体制を見直したことで新車投入スケジュールが遅延。販売と生産の両面に打撃を与えている。
タカタ製エアバッグのリコール問題では、対応のまずさでホンダに批判が集中。米国の安全当局に対する報告漏れという失態も明るみに出た。いずれも安全や品質にかかわる問題であり、ホンダのブランドを傷つけかねない。
問題はどこにあり、どう立て直すのか。ホンダの伊東孝紳社長が本誌独占インタビューに応じた。

 

──厳しい1年でした。

大変な1年だった。いろいろなことが起きた。一つひとつが深刻だ。精神的にかなり大変だった。

──まず、フィットの連続リコールの原因はどう分析していますか。

一番の原因はマネジメント側にある。トップマネジメントを含めて、特にアッパーマネジメントが現場の実情を知ることができなかった。

当事者には問題意識があった。それを会社として酌み取っていれば、不具合がある商品を市場に出す前にどこかでチェックできたはず。あるいは、問題が起きる前にここに過負荷があると気づけたはずだ。

──現場の過負荷について。世界6極体制で設計図面は六つになったが、リソースは2・5倍にしかならなかったという声を聞きます。

負荷は高いがギリギリ賄えるレベルだと考えて計画を立てた。

今回のフィットでは技術的にかなり高いチャレンジをした。それまでのホンダのハイブリッドシステムはIMAといって、常時エンジンが回り続けているもの。それを制御するのには慣れていた。しかし、今回は一つのモーターを発進にもアシストにも発電にも使う。それを細かく制御するためには、従来では想像できないような開発のやり方や検証の仕方があったはずだ。

エンジン部隊、トランスミッション部隊、シャシー部隊……それぞれが最初から融合して、市場での使われ方に合ったシステムの最適化をしなければならなかったが、できていなかった。現場の技術者は「もっとほかのやり方がある」と思っていたに違いないのだが、マネジメントが酌み取れなかった。ここに根本の原因がある。

──伊東社長が、フィットのリコールは深刻な問題だと認識したのはどのタイミングですか。

3回目くらいです。1回目のリコールのときは正直、私どもはほとんど認識していなかった。通常、リコールは専門部門が対応し、マネジメントは口出しできない。

──社長が怒鳴ったという報道もありました。

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