ドコモ完全子会社化は巻き返しに出るためのピースの1つにすぎない。
4.3兆円を投じたNTTドコモの完全子会社化を契機に、NTTグループが再結集しようとしている。これでNTTグループの中で上場する主要子会社はNTTデータだけとなった。
こうした動きは2018年、澤田純氏が持ち株会社の社長に就いたときから始まっていた。澤田氏は副社長時代にグループの海外戦略を担当してきた。グループ全体で30万人を抱える巨艦の舵取りを任された今、視線の先にあるのは海外事業の抜本的な強化である。
澤田氏が狙うのは、「スマートワールド」と総称する街づくりや工場などのデジタル化の分野で世界規模の主導権を握ることだ。
実際、トップに就いた18年以降、NTTコミュニケーションズ(コム)の国内・海外の分社化を含むグローバル事業の再編を実施。米マイクロソフトやトヨタ自動車、三菱商事など、巨大企業との提携も相次ぎ決めた。不動産や電力新会社の立ち上げなど、矢継ぎ早に新たな手を繰り出してきた。
こうした海外事業の責任を負うのがNTTデータとNTTリミテッド(NTT Ltd.)だ。NTTデータはこの10年強の間、欧米各国でM&Aを積極的に展開してきた。同社の本間洋社長は、「現在は(売上高で)8位だが、まずITサービスの業界の中で世界トップ5に入ることを目指せ、もっと上に行ってくれという思いが澤田(社長)にはあるし、われわれもそこを目指している」と話す。
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