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バイデン政権でも米中対立は止まらない インタビュー/国際情勢ストラテジスト ジョージ・フリードマン

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連邦議会へのデモ隊乱入は、米国の分断の深刻さを世界にさらした。迷走する超大国の先行きを地政学のプロが鋭利に予測する。

George Friedman 1949年、ハンガリー生まれ。米コーネル大学で政治学の博士号を取得。96年に「影のCIA」と呼ばれる世界的インテリジェンス企業「ストラトフォー」を創設、会長を務めた。2015年には同社を辞し、バーチャル・シンクタンク「ジオポリティカル・フューチャーズ」を創設、会長を務めている。(写真:Meredith Friedman)
ベストセラー『100年予測』シリーズで著名なジョージ・フリードマン氏は、新刊『2020-2030 アメリカ大分断──危機の地政学』(ともに邦訳は早川書房)で、米国は不安定な移行期にあると主張した。
約80年に一度の「制度的サイクル」と約50年に一度の「社会経済的サイクル」の大転換期が2020年代に訪れると、同氏はみる。トランプ大統領の登場は現周期の終焉の始まりを意味し、米国史における構造的変化の予兆だという。

──米国は、かつてないほど分断されています。フランクリン・ルーズベルト大統領で始まった1932〜80年の社会経済的周期は60年代後半から危機に陥り、その後に来たレーガン周期も終わりつつあると分析していますね。

南北戦争当時は今より分断されていたが、トランプの下で分断が深まったのは確かだ。この分断は、(80年に始まった)レーガン周期の終焉を示唆している。同時代にはテックブームが起こり、カリフォルニアや東海岸の人々が富む一方で、自動車や鉄鋼などの工業労働者階級は荒廃した。

そこにトランプが現れ、工業労働者階級を結集し、支配階級に挑戦状を突きつけ、対立が生じた。

レーガン周期には社会経済的対立に伴い、文化的対立も生まれた。中西部の労働者層は保守的だ。(知識に裏付けられた技能者の)テクノロジストと違い、人工妊娠中絶などに反対し、信仰心があつい。お互いに基本的な米国人像が違うため、感情的な対立が生じる。

60年代にもベトナム反戦運動や反体制派文化など、同様の危機が起こった。67年にはデトロイト暴動が勃発し、分断が拡大。74年にはニクソン大統領がウォーターゲート事件で失脚した。トランプも、ウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判にかけられた。

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