トランプ政権のことは奇妙な例外として水に流したい──。米国では民主と共和の両党にそんな誘惑が強く存在している。共和党は過去4年にわたる数々の悪行をトランプ氏の個人的な問題に矮小化し、共犯の痕跡を薄めようとするかもしれない。一方の民主党は模範的で寛大な姿をアピールしようと、トランプ氏の罪を裁くのを手控えるかもしれない。仮にそうなったとすれば、あそこまで憲法の基本原則に背いてきたトランプ政権は何の責任も取らないことになってしまう。
トランプ氏のために司法をねじ曲げてきたバー司法長官は、見え透いた狙いから「政治的な勝者が敗者を儀式的に訴追するのは成熟した民主主義の姿ではない」といった主張を展開している。政治的な計算と無縁の専門家でも、下野した相手をたたくのは権力基盤のおぼつかない独裁者くらいのものだ、と論じる向きが少なくない。だが、このような一般論は軽率だ。
この問題は3つに分けて考える必要がある。トランプ氏が大統領になる前に犯した罪、政権に就いてから取り巻きとともに手を染めた腐敗と非道、米国政治の構造的な弱点を浮き彫りにした政権の行い、の3つだ。求められる対応も、問題に応じて変わってくる。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら