中国が最も恐れる男が語る日中関係のリアリズム 垂 秀夫 新中国大使 中国を知り尽くす異能の外交官

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水面下で動いてきたインテリジェンスの仕事師。初のロングインタビュー。

本誌:西村豪太、秦 卓弥

たるみ・ひでお 1961年大阪府生まれ。京大法卒。85年外務省入省。在外勤務は中国、香港、台湾と一貫して中国関連。2008年中国・モンゴル課長。11年中国公使。領事局長、官房長を経て今年9月から現職。(撮影:尾形文繁)

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中国に幅広い人脈を持ち、アグレッシブな仕事ぶりで知られてきた垂秀夫・在中国大使。世界情勢が激動するなか日中関係をどう舵取りするのか。

──米中対立の副産物として日中関係が改善しているように見えます。

日中関係が改善してきた理由が、米中関係が悪化し、その力学が働いたことだけだとは思っていない。日中はお互いに関係改善へ努力をしてきたし、日本が安定した政治基盤の中で外交を行ってきたことで、中国自身も安倍政権としっかりと関係を構築する必要があると感じたのだろう。

今後どうしていくべきかといえば、お互いに相手との関係の戦略的な重要性を理解して、外部環境に影響されない安定した関係を強化していくことに尽きる。過去の日中関係では政治的な問題が起きると、ほかの分野の交流や協力にすぐ影響した。残念ながら、私は中国の対日政策においては、そういう側面が強かったと思っている。

日中関係にはさまざまな懸念事項や立場の違いがあるわけだが、お互いに引っ越しできない関係にある以上、外交的には安定した関係を構築していくことが大事だと思う。

中国が必ずしも国際的なスタンダードで動いていないと思われる課題がある。例えば香港問題、南シナ海問題、ウイグル問題などについて、われわれは主張すべき点ははっきり主張していく。そのためには安定した、率直に話し合える関係を構築しておかないと相手にメッセージが届かない。

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