原油が先物で粗大ゴミ扱い、需要急減で底値は見えず WTIが一時マイナス価格に

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減産は不発で不透明感が強まる。

米国のシェールオイルの主要生産地であるパーミアン盆地。これまで増産を進めてきた事業者は歴史的安値に直面している(ロイター/アフロ)

原油価格の底が抜けた。4月20日の米ニューヨークの原油先物(WTI)5月物の価格は1バレル=マイナス37.63ドルという前代未聞の値をつけた。「マイナス価格」は、保有する原油を相手に渡してお金をもらうのではなく、お金を支払って相手に原油を引き取ってもらうことを意味する。

こうした事態に陥ったのは、現物の扱いがネックになったからだ。「WTIの場合、オクラホマ州のクッシングで現物の原油を引き渡す。今、クッシングにある原油タンクは満タンに近く、受け入れは難しいとの見方が強まった」(日本貿易振興機構・アジア経済研究所の福田安志・名誉研究員)ことが要因だ。

先物市場の参加者には石油業界関係者のほかに、金融機関やトレーダーもいる。受け入れ場所が満タンに近い中、こうした人たちは現物の持ちようがない。そのため、「多額の料金を払って粗大ゴミを引き取ってもらうような状況になった」(石油業界関係者)。

先物の異常事態は新型コロナウイルスの感染拡大による実需急減の影響だ。米エネルギー情報局によれば、4月初めのガソリン需要は3月に比べて半減。ジェット燃料需要は7割減った。

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