隣国とはいえ日韓には深い対立の火種が根強く存在する。
国際関係はよく「ビリヤード台」に例えられる。硬くて相交われない球がぶつかり合うさまが、国家と国家の関係と似ているためだ。
最近、日本と韓国の間で展開されている半導体関連物資の輸出管理措置、そして軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の更新拒否などは、国際政治学が描く典型的な国家の衝突でもある。
しかし、国家にはもう1つの側面がある。人々が集まって暮らす共同体であるということだ。自分の選択と関係なくある地に生まれた人間は、所属する国家という特定の共同体の中で人生を営みながら、共通の価値体系、信念、情緒などを有する。日韓間で生じる慰安婦や徴用工、文化財返還といった問題では、国内総生産のような定量的な国家利益ではなく、正義や倫理といった双方の国民が持つ定性的な利益が衝突する。
国交が正常化した1965年から半世紀以上が経った両国間では、「正常」とはいえないほど対立が先鋭化している。すなわち、リスクが増加しているのだ。リスクが「望ましい状態が損なわれる可能性」であるならば、本当に正常で望ましい日韓関係において、リスクとはどんなものか。軍事、歴史、政治の3分野で生じうる代表的なリスクをここで挙げてみる。
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