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新しい核反応制御法で廃棄物を低減・資源化 地層処分に頼らない新発想

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理研のRIビームファクトリーにそろったチーム。これは研究開発で駆使した世界最大、最高性能の超伝導リングサイクロトロンである(写真:山根一眞)

「私は、今度生まれてきたときには原子力技術者になりたい。原子力に関して負の遺産を次の世代に残すな、という意見があるが、いつの時代も負の遺産があり、それを次の世代が解決してきたのが文明の進化なのだから」

これは2008年にがんで他界された戸塚洋二さん(06年まで高エネルギー加速器研究機構長)の言葉。戸塚さんはノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊さんのニュートリノの発見を支え、自身もノーベル賞候補といわれてきた研究者である。私は02年、戸塚さんに長時間のインタビューをしたことがあるが、この言葉が長く心に残っていた。

戸塚さんが語った「負の遺産」とは、原子力発電で出る核のゴミ、高レベル放射性廃棄物のことを指していたのだと思う。

その処分をめぐる研究開発は、いったいどうなっているのか。ずっと気になっていたのだが、18年6月、夢のようなイノベーションが表彰されたことが伝えられた。「放射性廃棄物の処理方法の発明」が「21世紀発明賞」を受賞したのだ(発明協会平成30年度全国発明表彰)。

藤田玲子さん。東芝に入社後、核廃棄物の処理を専門としてきた(写真:山根事務所)

受賞者は、理化学研究所(理研)、東芝エネルギーシステムズ、日本原子力研究開発機構、科学技術振興機構。それは、13年に閣議決定し、550億円の予算がついた16の革新的研究開発プログラム(ImPACT)の1つ、「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」の成果だった(プログラムは19年3月末で終了)。プログラム・マネージャーを務めた藤田玲子さんにその夢の発明を聞いた。なお理研の櫻井博儀さんら、ほかのメンバーのコメントは記事後段で紹介したい。

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