昨年末のCOP24(第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議)における「パリ協定」の指針採択など、気候変動のニュースが世間をにぎわせている。2018年のノーベル経済学賞も、経済成長の負と正の側面、気候変動と技術革新に焦点を当てたものだった。同じ頃発表された国連の気候変動に関する政府間パネルの報告書では、30年代には産業革命前と比べて気温が1.5度上昇する可能性が指摘された。
ここで少し考えたい。気温の上昇が私たちに与える影響はどのようなものか、またどういった対策が考えられるのか。
気象条件に最も左右される産業の1つは農業である。雨や雪といった天候はもちろん、気温にも影響を受ける。米国のデータを使った研究によると、ある一定の温度を超えると主要作物の収量が一気に減る。このため、農業分野で大きな技術革新がない限り、最も楽観的な温暖化シナリオに基づいたとしても、今世紀末に平均収量が30〜46%減るといわれている。世界の人口はまだ増えると予測されることから、温暖化の影響も考慮すれば、将来的に食料需給が逼迫するおそれもある。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら