ミレニアル世代を中心に、社会主義を評価する動きが広がっている。その裏側には、格差の拡大という米国が抱える社会問題が横たわっている。
「なぜ米国には社会主義が存在しないのか」。1世紀前にそう疑問を投げかけたのは、ドイツの社会学者ヴェルナー・ゾンバルトだ。欧州から見れば存在しないに等しい米国の社会主義が、11月の中間選挙で躍進した。小さな前進に見えるが、背後では大きな胎動が起きている。社会主義勢力の躍進は、民主党とリベラル政治を改変する可能性をはらんでいる。
今回の選挙で下院を奪還した民主党では、女性、マイノリティ、若手の活躍が注目された。その典型例として脚光を浴びたのが、ニューヨーク市の下町を地盤として躍り出た、アレクサンドリア・オカシオコルテスだ。史上最年少の29歳で下院議員に当選した、プエルトリコ系の元バーテンダーだ。予備選で民主党下院の重鎮を押しのけて候補となり、本選で共和党候補に圧勝した。早くも将来の党のリーダーと目されている。
そのオカシオコルテスは「アメリカ民主社会主義者」(DSA)という社会主義政治組織のメンバーである。女性イスラム教徒として初めて下院議員に当選した二人のうちの一人、ミシガン州のラシダ・トレイブ(民主党)も同じ組織に属する。これにより、すでに議席を持ち今回も当選したイリノイ州のダニー・デイビスを含めて、下院民主党には民主社会主義者が3人となった。
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