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主力のカーナビで大誤算 パイオニアが陥った苦境 遠のく名門企業復活

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カーナビ事業で減損。新社長は抜本的改革を断行できるか。

埼玉県にあるパイオニアの川越事業所。開発と生産の機能を兼ね備える中核拠点だ(撮影:風間仁一郎)

パイオニアの業績悪化が深刻だ。「ここ何年かの低迷はまたか、という印象だったが、今回ばかりはタフな空気感がある」──。ある社員は社内の雰囲気をそう表現する。

2018年3月期は、売上高が3654億円と前期比5.5%減だったが、営業利益は12億円と前期から7割も減少。結果、純損益は71億円の損失と、2期連続の最終赤字に沈んだ。

会社側は今19年3月期は営業赤字50億円を見込む。営業赤字となれば9期ぶりで、経常損益と最終損益は見通せないため、予想は非公開という異例の事態だ。5月の決算発表後、株価は年初の250円から150円台まで急落した。

今回の赤字の原因は、主力の車載機器事業だ。トヨタ自動車にカーナビを供給するOEM(相手先ブランドによる生産)事業で85億円もの減損損失が生じた。

車載事業のうち市販は、自社ブランド「カロッツェリア」が人気だが、自社で価格を決められないOEM事業は薄利多売が前提だ。

パイオニアは14年にトヨタから高級車ブランド「レクサス」など向けのカーナビ製品を受注した。納期が数年にわたる大型案件で17年2月に納入開始、20〜21年がピークとなる計画だった。しかし、納入開始の1年前にトヨタ側から「これでは時代遅れだ。仕様変更してほしい」という指示が出た。

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