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若き中国人実業家のアフリカ進出戦記 目指すはアフリカのジャック・マー

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コピー王の異名を取る企業家がエチオピアに進出。無料アプリ配布で莫大な富を狙う。

中国に「山寨(シャンツァイ)王」(コピーキング)と呼ばれる企業家がいる。広東省深セン市のガジェットメーカーMeeGoPad(ミーゴパッド)の創業者、ロビン・ウー(呉●彬〈●=火へんに華〉) だ。34歳の若き野心家は、その夢を新天地アフリカに託している。

中国共産党の党規約を書き写すロビン・ウー。熱烈な愛国者であることを公言している

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彼が山寨王の異名を得たのは2010年。米アップルが初代のタブレット端末「iPad」を発売した60日後に、本物そっくりの端末をリリースした。電子製造業の街、深センにはさまざまなコピー製品があふれているが、これほどの早さで完成させるのは容易なことではない。中国ではコピー品を山寨という。かくしてウーは王の称号を手にした。

最速コピーで高い利益率を享受

「山寨の命はスピードだ」とウーは言い切る。リリースが遅れれば別の模倣品が登場し、価格競争に陥る。先んじれば、競合が出るまで高い利益率を享受できる。

超高速で山寨iPadを作るため、ウーは周到な準備を重ねた。アップルは新製品の情報を漏らさないよう警戒していたが、スマートフォン「iPhone」の大型版のような製品になることは予測がついた。そこで液晶やタッチパネルなど部品の手配をあらかた整えていた。発売されるとすぐに米国から取り寄せ、本体を解析。ケースと基板の設計を同時に進めた。深センの山寨製品は無名メーカーの激安部品を使うことが多いが、初期ロットでは有名メーカーの部品を使った。原価が高くなってもテストする時間を短縮したのだ。

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