本田宗一郎縦横談 体験的戦史の読み方 「ボクが東郷元帥だったら全部捕獲するョ」
井深大氏と行革をめぐって熱論2時間(19日発行の本誌臨時増刊号掲載)の後、単独で1時間半しゃべったのがこの史談。秀吉も家康も東郷元帥も否定する人物史観の強烈な個性ぶりはさすが。
フォークランド紛争は、ボクも大変興味を持って眺めていましたよ。というのは、いままでの戦史をみると、南北の緯度40度以内の水平移動、つまり緯度の違わない地域を攻める戦争は、だいたい成功しているが、縦移動になると失敗した例が多いからなんです。
ナポレオンのモスクワ遠征は失敗の例だし、アレキサンダー東征や蒙古軍は、水平移動で成功した例だ。
フォークランドでは、イギリスは勝ったようで負けているんですよ。あんな武器もないところに、あれほどの大艦隊を持って行って、てこずっている。
なぜ緯度が戦争に影響するかというと、それは気候だけの問題じゃない。人間のカンに対する影響が大きいからなんだ。
タテ移動するとカンが狂う
戦争というのは異常心理が支配している世界なんですね。異常心理のときには、人間は機械とか、そういうものばかりをみてないんですよ。敵を攻撃するということと、自分が生きているということの二つの事実が、戦う人間にはのしかかっている。そうすると機械を忘れちゃう。計器をつけてやったから、そのとおり動くかといえば、そうじゃなくてカンで動いてしまう。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら