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丹下健三が残した遺産 もう一人の巨人

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東京五輪、米大統領の歴史的な「広島演説」、世界遺産……。今年のキーワードに関連して浮かび上がる人物。建築家の丹下健三である。戦後の日本を作った男、丹下の実像。

息を弾ませながら、急な坂を登り切る。前触れもなく飛び込んできた光で視界が遮られた。一瞬、自分のいる居場所を見失ってしまう、そんな妙な感覚にとらわれる。坂のてっぺんで目にしたもの。それは一面、メタリックの壁に包まれた流線形の巨大建造物だった。

(撮影:今 祥雄)

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東京文京区、東京カテドラル聖マリア大聖堂。キリスト教カトリックの教会である。「パワースポット」の言葉に引かれ、日本全国から見物客がやってくる。世界でも珍しい、光り輝く教会を一目見ようと、外国人観光客の訪問も絶えない。

そして、忘れてならないのは、この教会が「建築家なら一度は訪れなければならない」といわれる、建築界の聖地でもあることだろう。設計したのは日本の建築界の巨人・丹下健三である。完成したのは1964年、東京五輪と同じ年だった。

建築家 丹下健三
たんげ・けんぞう●1913年生まれ。広島平和記念公園や国立代々木競技場などを設計。2005年死去。(kodansha/アフロ)

教会建設の際、内部で最終的に残ったのは3案であった。一つは欧州で見られるゴシック調の伝統的な大聖堂、もう一つは日本的で荘厳な木造建築。三つ目は鉄板とコンクリートで構成される丹下の案である。

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