フランスはユーロ圏にとってお荷物か、停滞脱出の切り札かケネス・ロゴフ 米ハーバード大学教授 フランス経済が世界的な論争の的になっている。左派の見方では、フランスは手厚い給付制度と強い労働組合のおかげで、包括的な福祉国家を実現している。が、右派の見方では、必要以上に大きくて介入ばかりする政府は長期的な衰退を招く原因でしかない。現状を見るかぎり、右派が正しいように思える。
かつてフランス経済は、ドイツとほぼ拮抗していたが、この10年間に大きく水をあけられ、1人当たりGDP(国内総生産)は約10%低い。経済規模はドイツの約4分の3だ。
現時点でフランス経済の好転を確信している人は、まずいない。しかし幸いなことに、フランスは見掛けほどフランス的ではない。確かに週35時間労働制はあるが、ほとんどの労働者の1週間当たり労働時間は、実際39時間に近いだろう。
フランスは、配車サービスの米ウーバーを規制しようとした。ウーバーのビジネスモデルは、この10年間で最も斬新かつ重要な進歩の一つであるにもかかわらず、労働組合の圧力に屈した。この規制は、タクシー運転手の労働組合にとっては勝利であり、乗客とウーバーの運転手にとっては悲劇であった。ただし一方で、潜在性が高い技術系の小規模企業の育成をフランスが重視し始めた、という側面もある。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら